そもそも「キツネ」って? 基本的なことについて。

〜尽きない魅力〜
ホンドギツネ V.v.japonica

 
★体長50〜75cm・体重4〜7kg
 日本ではホンドギツネ(本州・四国・九州)とキタキツネ(北海道)が生息。共に分類学的には食肉目イヌ科キツネ属アカギツネ(Vulpes vulpes)の亜種。アカギツネの分布域はほぼ北半球全域に及び、森林や平原はもとより砂漠、ツンドラ地帯、もちろん農村地帯にまで適応する。
 基本的に夜行性。時速48kmで走り、跳躍力は2mを越す。主食は野ネズミ、野うさぎ、鳥類、昆虫など。液果など植物質のものも食べ、雑食性の傾向は強い。寿命は3〜4年以上は稀。飼育下では12年生きた記録がある。
 群れを形成することはなく、子育ての期間を除いて、単独で行動することが多い。巣穴をもつ場合もあるが、その日その日を草むらや岩陰で過ごす場合も多い。
 発情期は地域による差があるが、通常年1回・12〜4月。50日強の妊娠期間を経て、3〜5月に1〜13仔を産む。出産および初期の子育ては巣穴にて行われる。子育てに関して同居する雌(ヘルパー)が協力することがあると観察されている。
 巣穴は、斜面等に自分で穴を掘ることもあるが、アナグマ・穴ウサギなどの使っていたものを借用、拡張して用いることが多い。巣穴は地下1〜3m、長さ2.5〜10mで多くの出入り口を持つ。
写真は井の頭自然文化園のホンドギツネ。会いに行っても常に眠そう
特徴的な習性など
■チャーミング 〜化かす〜

 狩の際に使用する。豊富なバリエーションがあるが、例えば、草などを食んでいるウサギを発見すると、逃げ出さない程度の距離まで接近した上で苦しそうに転げまわる。好奇心をくすぐられたウサギがその様子を眺めているうちに、キツネは転げながら距離を詰めてゆき、最後にはウサギを捕らえる。バリエーションは死んだふり?等、数多くあります。アカギツネ共通の行動らしく、洋の東西を問わず目撃されています。
■キツネジャンプ 〜跳ぶ〜
 狩のシーンでは、大きな耳を使って藪や雪の下の野ネズミの位置を把握すると、その場から真上にジャンプして、両前足と口で野ネズミを押さえつける。 画像がほしいところですね…web上で動画を見たことがありますが、予備動作が少なく、滞空時間の長いジャンプです。(その動画は見られなくなっていました) 子育ての際にも、親キツネは餌を高く銜え、子キツネがジャンプしてそれを捕らえる行動が観察されていて、トレーニングと見られています。
■一夫一婦
 従来、一夫一婦の動物と考えられていましたが、近年の研究成果では、そうでもないようです。巣穴を共同使用する事例のほか、ヘルパーと呼ばれる育児補助役(前年生まれの雌)の同居生活が知られており、巣穴に餌を運ぶ雄がその仔の親でない事例も確認されているそうです。
■子別れ
 子育ての終わり、出産の年の7〜8月頃、親キツネと変わらないほどに成長した子キツネに対して、母キツネは強くこれに噛み付き、巣穴から追い出します。子は母キツネの豹変に戸惑い、出てはまた戻ってきますが、9月頃には完全に巣に戻らぬようになり、新しい生活環境へと向かいます。 
 キツネは変化はしない………はず、です。彼が何故目を逸らしたのかはわかりません。

■生態
 キツネの標準的な行動モデルは下表のようになります。
 まず雌雄を別と考えると分かり易くなります。オスは放浪生活が基本としてあり、その上で、冬の発情期に「テリトリー制」の意識が高まります。メスを獲得すべく雌の巣穴を含む形でのテリトリーを確保します。普段無口なキツネですが、テリトリー宣言として「ココンコンコン」と鳴き、また目立つところに糞や尿によるマーキングを頻繁に行います。(参考:日本霊異記下巻-38)
 メスは巣穴を持つ場合が多く、放浪する場合もあります。巣穴に暮らす場合、メス同士複数で住むことがあります。メス同士で同居する場合、巣穴群内では順位制が発生します。同居するメスの中で最優位のメスのみが交尾することが原則と見られ、メスばかりの巣に入ったオスがハーレムを形成することはありません。また、この同居の雌がヘルパーとして育仔にあたることになります。
 メスには寒期に3週間ほどの短い発情期があり、交尾します。交尾終了後、オスは巣穴に残留し残って育仔にあたることになりますが、交尾後出て行ってしまうこともあります。約52日間の妊娠期間を経て、3月ころに出産します。子ギツネが親と変わらない大きさに成長する7月ごろから子別れが始まり、後、子は分散し放浪します。例外的に雌の子ギツネは巣穴に残留する場合があります。

表の参考:中園敏之「キツネの社会構造を探る」(平凡社・季刊アニマ所収)ほか

知っておいて欲しいこと

■寄生虫エキノコックス
 エキノコックスは寄生虫の一種です。そのうち多包条虫という種類が北海道のキタキツネに蔓延しています。日本では昭和40年代からこの問題が指摘されてきました。
 エキノコックスの幼虫は野ネズミ寄生しますが、寄生されている野ネズミをキタキツネが捕食すると、幼虫はキタキツネに侵入します。幼虫はキタキツネの腸内で成虫となりを産み、卵は糞に混じって体外へと出ます。そのがまた野ネズミに侵入する(経口)のですが、何かの拍子にこのが人の口に入ってしまうと、は人の腸内で孵化し肝臓等に幼虫が寄生し、エキノコックス症をひき起こします。幼虫イヌにも感染可能なので、野犬や飼い犬がネズミを捕食した際も、同様に感染します。予防のためには、卵の経口摂取の危険のあることをしないことです。沢水を飲んだり、キタキツネや放し飼いのイヌに触らないように注意すべきでしょう。 
※キツネからイヌ、イヌからイヌ等への感染はしません。
 また、スナック菓子等をキタキツネに与えてしまうと、キタキツネが人間の生活圏に居着くようになり、エキノコックス感染の危険性が増します。また、キタキツネはそれを常食することからくる消化不良により抵抗力を落とし、感染症を罹病しやすくなります。現在、キタキツネをはじめタヌキほか野生動物の疥癬症による死亡が多く発生しているそうです。お互いのためにも彼らとはくれぐれも適切な距離をおいてください。

キタキツネ、少々お待ちくださいm(_ _)m

〜砂漠にすむ最小の犬の仲間〜
フェネックギツネ Fennecus zerda


(生態)
体長35〜40cm:体重1〜1.5kg
 北アフリカのモロッコから、東のアラビアにかけての地域に生息。砂漠での生活に完全に適応した最小のイヌ科動物。大きな耳は、外敵の接近や獲物の所在を捉えるとともに、体温調整の機能をもつ。

 サイトの主題から早くも脱線しております。フェネックかわいいっス…。足裏に毛が生えているのもフェネックの特徴です。かわいいっスね。

(主な参考文献)今泉忠明「野生イヌの百科」データハウス1993刊